「社会科見学」で月星ゴムの工場へ行った

「社会科見学」をご存知でしょうか?今、小学校でなんと呼ぶのかは知りませんが、私たちが小学生だったころは有名な工場や施設を見学して「こうしたものが社会の役にたっているんだ」と学校の授業以外で現実的な知識をを得る時間でした。私たちの学校は山間部にあって、めったに平野部に降りる機会はありませんでした。チベットの山間部族が、宗教行事で平野部に降りてくるようなもんです。

さて「社会科見学」ですが、私の記憶では靴をメインで作っていたゴム製品製造の「月星」さんや、「麒麟」のビール工場を見学に行った記憶があります。月星さんは靴製造メーカーとして有名で、久留米市に工場がありました。昭和の時代、久留米は多業種の生産工場が進出して職工さんの街だったこともあります。ブリジストンの工場も久留米です、創業者は石橋さん石(ストーン)+橋(ブリッジ)なわけです。

工場がすごかったという話ではありません。見学に至る行程で大変なのです、久留米へ行くには筑後川を渡らなければなりません。生徒の中には既に筑後川を見たことがある者もいましたが、大半は日本国が管理するこの1級河川を見たことがありませんでした。貸し切りバスの窓から筑後川が見えると「海がある!」「ほんなこつ、海ばい」「先生!ウミ」と、川を海だと思って大騒ぎが始まりました。そうです、住んでいる地域の川は広いところでも川幅は4~5mほどしかないのです。その小川に比べたら筑後川は海と思われるほど大きかったのです。

先生がマイクで説明します。「えー、よかか。あすこに見えよるとは海じゃなか、川たい。筑後川ち言うて、このへんじゃ一番おおきな川。」生徒の間に静寂が訪れます。みな、これが川とするならば「海」とはいったい、どれほどの大きさのものなのか。当然、田舎とはいえ洒落た家の子供は海に行ったことがあり、そのことを話したいとは思っているのですが、周辺の雰囲気は「海ば見たことがある」と言う発言を拒むのです。

「社会科見学」を無事に終了し、家に戻った子供たちは、工場でもらった月星の習字用の下敷きのおみあげよりも、今日見た「海」について興奮しながら語ったのでした。

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