「鹿の惑星」その② 第二次接近遭遇 ”衝撃”

野生の鹿の話です。先回は小学生の頃、遠足に行って偶然に遠くからオス鹿を見ることができた話をしました。今回が第二回です、鹿との運命的な出会いはその後も続くことになります。私も昔は、野生の鹿なんて北海道の山林とかに生息するもので、そこいらの山に住んでいるとは思っても見ませんでした。

これは、ちょっとした余談なのですが、就職し結婚して妻とふたりで深夜枠のテレビを見ているときでした。(この当時は福岡に住んでおりました。)番組は、人里に出てきて被害をもたらしている害獣(鹿)を駆除するため、地元の猟友会の人たちが駆除に行くのを同行取材するというものでした。撮影されていた場所は、ものすごい山間部で鹿を探して山奥に分け入って行く猟友会の人たちは、まるで探検隊のようでした。私は妻とぼんやり見ながら「へー、いまだにこんな田舎があるんだ。すげー山奥」と自分の出身が「すげー山奥」なのを棚に上げて、上から目線で見ていました。

放送から10分ほど経過して鹿の足跡を見つけた猟友会のおじさんが質問に答える場面を見てア然としました。「これがくさ、足跡たい」と地面を指差しているおじさんは、どこか見覚えのある‥そう、実家のご近所のおじさんだったのです。ということは「すげー山奥」は私の育った山奥の村ということです。

今回のお話は、そんな山奥で起こった出来事です。その頃、私は小学校4~5年くらいだったと思います。父の運転するニッサンのトラックで兄と3人、夜の国道を走っていました。道は曲がりくねり、片側には山が迫り反対は棚田という状況でした。馴れていなければとてもスピードが出せるような道ではありませんでした。当然、周辺には一軒の民家もありません。

その日は、家から離れた農作地に石垣を積む作業か何かで3人で出かけての帰りでした。大きなカーブを回ったところで10mほど先に大きな生き物が見えました。犬なんかよりずっと大きいことはわかりましたが、瞬時にそれが何なのかの判断はつきませんでした。父が叫びました「鹿だ!」そう鹿だったのです。鹿が国道を横切ろうとしていました。父は速度を落とすどころか、ハンドルを強く握りしめアクセルを力いっぱいに踏み込みました。「食おう!」それが父の言葉でした、次に強い衝撃を感じてトラックは停車しました。

車を脇に寄せ、みな急いで降りました。父は鹿を完全に轢いて仕留めたと思っていました。が、鹿の倒れた姿はどこにもなく、トラックのボンネットだけが大きく凹んで損傷していました。車道から下がった棚田を見ると、鹿が元気に走っていくのが見えました。父は、大きく損傷したトラックの脇でうなだれていました。これが私の野生鹿との第二次接近遭遇でした。(第三次 接近遭遇に続く)

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