「野蛮人」なのか「フランス人」的なのか

私は山間部の小集落で育ちました。そのため、食料品は「買う」というイメージよりも「作る」といったイメージでした。野菜や米は、種を撒いて育てればよいので、そう問題ではなかったのですが、タンパク質の摂取に関しては結構苦労しました。「肉屋」があるわけではないので鶏肉がほしいと思えば生きている状態から息を止めて、解体作業を経ないと食卓にはたどり着かないのです。

鶏などは一般的な食用家畜として認知されていますが、ウサギはどうでしょう。私が小さい頃は、ウサギを食用として飼っていました。牛小屋、鶏小屋、その向こうくらいにウサギ小屋がありました。1年を通して彼らに草を与えるのが私の仕事でした。

ウサギは繁殖力が強く、一度の出産で8~10匹もの子供を産みます。飼っていたウサギさんたちも、どんどんと増えていきました。餌をやる側としては愛着が沸いてきますので、一匹々に名前を付けたりします。「はな」「くろ」「折れみみ」「まだら」…私にとっては家族のようなものでした。

冬の季節になると新鮮な草は供給が難しくなり、牛の餌として備蓄したものを与えていました。しかし冬になると年老いたウサギがいなくなるのです。餌をやりに行くと「くろ」がどこにも見えなかったりしました。母に尋ねると「冬やけんね、キツネが持っていったとやろ」と軽く返事を返してくるのです。

私は母はいなくなったウサギが心配ではないのかと腹がたちました。そんな、ウサギが消えた夜には決まって鶏肉の煮込みが食卓に上がったのです。母は鶏と説明するのですが、その噛み応えや味は鶏のそれとは違う感じでした。

けっこう積雪があって、動きが取れない時期にウサギも数羽、姿を消しました。毎日心配する私にひとつ年長の兄が言いました。「フランスはくさ」??、兄は何を言いたいのか「やけん、フランスじゃ」「ウサギば食べるげな」‥‥。

うう、私たちは外見はまったくの日本人だったのですが、実はフランスからの移民だったようです。母はウサギを飼い始めたときから冬の食料として考えていたのです。そういえば、野生のハトも捕まえて食べたことがあります。私たちはフランス人だったのです。決して、野蛮人じゃありません。

 

 

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