ハニーハンターって聞いたことがありますか?

テレビのドキュメンタリーで高価な食材を危険を冒して取って来る話を見たことがあります。番組はふつのエピソードで構成されていました。ひとつは岩燕の巣、もうひとつは蜂蜜の話です。岩燕の巣は、海が近い断崖絶壁や洞孔の中で採取するのですが、人が近づかない高所にあるのが普通で、その採取作業は困難を極めます。取れる巣は半円形の白い段ボールみたいです。

蜂蜜の採取は、ジャングルの中で倒木に作られた蜂の巣を取りに行くというものでした。岩燕の巣は高所にあるので冒険的な臭いがするのですが、この蜂蜜を採取する作業はどこか滑稽で笑ってしまいました。ナレーターが「ハニーハンター!」と叫ぶのです、ハンターと言いつつ蜂に刺されまくって踊りながら巣に接近する状態です。でも「ハニーハンター!」なのです。

私の実家にも養蜂箱がありました。畑の端に3個ほど置かれていて、ミツバチが中に巣を作っていました。なぜ、養蜂箱がありミツバチが入っているのか、そんなことは考えたこともありません。物心がついたときにはそこにあったのです。最初に蜂蜜を取る作業を見たのは小学校3年生くらいだったと思います。

正確には「見た」のではなく手伝ったとするのが正しいかと思います。父が呼びに来て「蜂蜜ば取りに行くぜ」と誘いにきて、兄と三人で畑の養蜂箱に向かいました。それぞれビニール製のバケツを持ってい行きました。今なら、帽子や顔を覆う網だの用意したのでしょうが、当時はミツバチに対する知識を持っていませんでした。刺すことは知っていましたが、その毒性や一度刺すと針が抜けて死んでしまうなど、今なら常識的な情報すら知りませんでした。

父は養蜂箱に近づくと無造作に箱を覆う藁を取り、蓋を開けて四角く作られた何層かの巣を掴み出して兄に渡します。父のまわりには無数の蜂が飛び交っていましたが、父はまったく警戒心もなく黙々と作業を続けていました。

兄のバケツがいっぱいになると、父は私を呼んで巣を渡し始めました。これが悲劇の始まりです。養蜂箱に近づくとミツバチがあちらこちらから襲いかかって来ました。頭や腕がチクチクします、それでもなんとか作業を終え、三人でバケツを抱えて帰りました。当然、父も兄も刺されているのですが、不思議と痛みを感じないようでした。私はあちこち痛くて大変な状態になりました、その後、高熱が出てしばらく寝込みました。頭には4か所もミツバチの針が残されていました。

普通に考えて「死んで」いたかもしれません。ミツバチに関する知識や「ハニーハンター」に関しては後に知ることになるのですが、ハニーハンターはジャングルの奥地にいたのではなく、実は私の父と兄だったのです。その後、ハチミツの採取作業には「体が弱い」ことを理由に参加することはありませんでした。

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