「ビッグ・ウェンズデー」見てサーファーに憧れた日々

私が大学生の頃は「女にモテル」という理由でサーフィンをするように勧められた。まず第一に映画を見なければならないジョン・ミリアス監督の「ビッグ・ウェンズデー」だ。これを見て、サーファーになる誓いを立て、次に足となる「車」を手に入れるために死ぬようなバイトをし、天神で一年中ココナッツ臭を放つロン毛のお兄さんからサーフボードを買う。

そして、いよいよ海に出かけるのだが。私は「波に乗れる」先輩を見たことがなかった、私にサーフィンを勧めた先輩は海に行くことはあるようだったが、実際に「いっしょに行こう」と誘われたこと一度もなかった。

福岡は山や海が中心地区から近いことが利点で、中心市街から海へは車で30分も走れば着くことが可能だ、もっともサーフィンをするような場所は限られているが、まったくの素人だった私は現地で教えを乞うことにした。砂浜でボードを立てサーファーをやっているお兄さんたちは、みな優しく知識も豊富で、いろいろと勉強させてもらった。

まずパドリングで沖に出ること、沖に出て「波」を待つこと、いい波が来たら背を向けて必死にパドリングすること、波でボードが走り始めたら「シャー」と音がするから、ボード上に立つこと。忘れてた!波を見つけたら、まず声をかけて自分が乗ることを申請すること、のようにやればサーファーになれる。という教えだった。

通いましたよ随分、でも乗れませんでしたよ。なぜって「波がたつ」エリアっていうのが非常に限られた狭いエリアで、そこに何人ものサーファーが群れをなしていて、「乗れそうな波」がきたときには「ハイ!」「俺!」「イヤー!」掛け声の嵐ですよ、とてもサーフィンって感じじゃありません。

私はそれでも春先から秋まで年の3分の2は海に通った。波に乗るとか、そういうことではなくて海を眺めているだけで楽しかった。そのうち、海の家のオヤジと友達になって、オヤジが海岸で風切羽を切られたインコを見つけたときも捕獲を手伝った。もう秋で、かなり寒くなっていたと思う。

卒業してサーフィンをウインドサーフィンに乗り換えて海に行くようになった、波なんか待たなくても大丈夫だし、風さえあれば良かったので楽しめた。先生は現役の大学生で親切だった、しかし彼らの映画はキアヌ・リーブスの「ハート・ブルー」。確かにカッコよかったけど、「ビッグ・ウェンズデー」で見た海は、そこにはなかった。私にとって「波乗り」は遥かなる夢に終わった。

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