秋田の脱サラ「山菜ガール」に学ぶ新旧共存のあり方

ひと昔前に話題になった㈱いろどりをご存知でしょうか?高齢化が進んだ高知県馬路村で行われている「いろどり農業」による村おこしです。これは和会席に使用する料理のツマを高齢者の方が採取して料理屋に提供するというビジネスです、聞かれた方も多いのではないでしょうか。モミジは1枚15円、てんぷらに使われるふきのとうも15円、梅の花や桃の花も15円。全国的に有名になった「お年寄り産業」です。

このところ耳にするのが「山菜ガール」です。これは「いろどり農業」とは異なり、直接エンドユーザーに商品を届けるスタイルです、株式会社 あきたの森宅配便では山菜の代行採取を行っています。「山菜がほしい」という首都圏等からの注文をホームページやFAXで受け付け、それを『山の名人』(主に高齢のおばあちゃん)が探しに行き、採取した山菜を宅急便でユーザーに届けるというユニークなサービスを提供しています。

山菜を採りにいく「名人」は嬉嬉として山菜採りの魅力を語ります「山に入るのが好きだから」「山菜は山の恵」これまでは、ほとんどを自家用に採っていた山菜も今では立派な商品となっています。あきたの森宅急便の栗山奈津子代表は1988年、秋田県の生まれ。東京農業大学を卒業後、青森市で食品会社勤務を経て秋田に帰郷しました。2014年より「あきた森の宅急便」の代表に就任。

このビジネスは栗山さんなしにはあり得なかったでしょう、地元では高齢化が進みそのままでは秋田の小村が知られることもなかったでしょう。ITの進化というならこういう貢献を指すのではないでしょうか。ひと昔前では多額の費用を必要とした商品販売のシステム化も現代ではネットを通じて容易に構築することができるようになりました、しかし、そこに適切な「人」がいないとビジネスは成立しないのです。

そこにあるだけでは”ただのモノ”大切なのは価値を与えること

栗山さんは地元で農業に関連した仕事ができないかと考えて「山菜ガール」となりました。たらのめ、こしあぶら、こごみ、あいこ、しどけ、やまうど、みず、ねまがりたけ、等々。名前も知らない山菜がたくさんあります。恐らくは栗山さんも知らなかったのではないでしょうか、だからこそ、それを広めることがビジネスになると思ったのだと思います。

私も小さな頃、母と一緒に山菜採りに行きました、主にわらびやゼンマイが対象でした。険しい山に分け入って山菜を採るのは大変な作業なのですが、段々と重くなっていく背中の竹籠の重みを感じると嬉しくなって勇んで採ったのを記憶しています。既に母は80歳を超え、山に入って山菜を採ることはできませんが、帰省すると一緒に見た鹿や猿などの野生動物のことや、蛇が恐ろしかったことなどを、お茶を飲みながら語ります。山間部で生活する人間にとって「山に入る」ことは作業以前に生活の一部で”楽しい”ことだったように思います。

注文すれば秋田の山間部で取られた新鮮な山菜が送られてくるのです。きっと、その山菜からは山の息吹が感じられると思います、今の時期は「みず」がお薦めらしいです、九州出身の私には馴染みのない山菜ですが、炒めて食べるとおいしいそうです。これからも若い方がITの技術を持って過疎地域に入っていただき、旧産業との組み合わせから新しいビジネスを生み出していただければと考えています。

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