今秋公開「アウトレージ 最終章」予告編公開、私が選ぶ北野映画BEST3。

先日、ラジオのパーソナリティが「アウトレイジ 最終章」を見たエピソードを語っていました。「えぇ、もう公開しているの?」調べてみたところ、予告編は既に公開になっていました。最終章本編が関係者の間で試写にかけられているのかどうかは知りませんが、業界関係者は見られた方がいるのかも知れません。北野武さんは映画監督として、既に10本以上の作品を撮られています。今日は、私が推奨する北野作品を選んで見たいと思います。

北野作品の特徴は「キタノブルー」と呼ばれる青を基調とした映像が多いこと、自身が脚本・出演すること、歩きのシーンが多い、台詞が少ない、「馬鹿野郎」が多用される、などが上げられることが多いのですが、別に特徴と言うことではなく結果としてそうなっているだけだと思います。「キタノブルー」にしても海をバックにしたシーンが多いためですし、自身が出演するのは主人公の暴力性などの表現が伝えにくいからだと思います。私の思う北野映画の特徴は坦々とストーリーが進んでいく点です、確かに暴力のシーンがあったりはするのですが、全体として坦々のイメージなのです。

北野映画が持っている雰囲気はフランス映画が持つ雰囲気と同じに感じます。実際、ご本人の話の中でジャン=ピエール・メルヴィル(キタノブルーに影響を与えたと言われています)やジャン=リュック・ゴダールに影響を受けたことは話しています。小学生くらいだったと思いますが、アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、ジャンポール・ベルモンドといったフランス人俳優が主演の映画を見ました。アメリカ映画とは異なる、そのトーンはいまだに記憶に残っています。北野映画にも同じものを感じるのです。

では、私の選ぶ北野作品BEST3をご紹介します。

私が選ぶ北野監督作品BEST3

第3位 ソナチネ(1993年)

北野監督4作品目の映画です。この頃の映画がとても好きです。初期のタイトルは「沖縄ピエロ」とされていました、ジャン=リュック・ゴダールの影響を強く受けていたようです。この作品はロンドン映画祭やカンヌ国際映画祭で上映され、欧州を中心に高く評価されました。これを契機に「キタニスト」として知られる北野映画のファンが世界的に生まれました。アメリカではクエンティン・タランティーノの高い評価を受け、アメリカでも公開されました。

ストーリーは、広域暴力団の下部組織が沖縄の地元ヤクザと抗争になり、下部組織の組を助けるために北野武さん演じる組長が沖縄に乗り込み地元ヤクザと対決しま

引用 きちがいピエロ

す。しかし、最終的には下部組織の構成員は次々と殺されて行きます。実は広域暴力団の上層部は邪魔になった下部組織を消し去るために組の抗争を利用していたのです。これを知った北野さん演じる組長は、上層部を襲撃、その後に自分も自ら命を絶ちます。

「アウト・レイジ」と同じ”やくざ”ものなんですが、沖縄の組を襲った後に隠れ家で過ごす日常が坦々としてすばらしい映像になっていました。そして、最後に主人公が自殺してしまうのも、唸ってしまう展開です。北野監督はこの作品を初期の集大成と呼んでいますが、まさにその感があります。

第2位 あの夏、いちばん静かな海(1991年)

「ソラチネ」の前に撮られた3作目の映画です。主演は真木蔵人、木島弘子。亡くなられた映画評論家・淀川長治さんは「ビートたけしと言う人は、お年寄りのことをバカにしたりするので嫌いだったが、この映画を見て考えが変わった、一度会いたい」と言って、その後の映画雑誌のインタヴューで「日本の映画史の中でね、一番いいたいくらいあの映画好きなのね。あれってとてもサイレントなのね。サイレントだけど見とったらラブシーンが一番いいのね」と称賛されました。」

ストーリーは、ゴミ回収を仕事にする聾唖に青年・茂はごみでだされた先端が欠けたサーフボードを持ち帰ります。彼は先端を補修すると、同じ聾唖の彼女・貴子を誘って海に向かいました。茂はサーフィンにのめり込み、貴子はいつもそれを見ていました。拾ったボードは壊れ、茂は新品を買い、ますますサーフィンに夢中になっていきます。初めは茂をバカにしていた地元サーファーも彼を見直します、しかし、仕事は休みがちになり貴子との時間も無くなっていきます。そんなある日、いつものように貴子が海にやって来ますが茂の姿はなく、波打ち際で漂う彼のサーフボードだけが残されていました。

全体が静かで坦々としているのですが、それがいいんです。必ず最後は泣いてしまいます。

BEST 1

第1位 キッズ・リターン(1996年)

北野監督は1994年に大きなバイク事故に遭います、そのブランクを経て撮影した復帰作で北野作品6作目の映画となります。事故が作品の世界観に大きな影響を与えたと言われています。今作の評価は高く、それまで舌戦を繰り広げてきた映画評論家・田山力哉も作品を認めている。ソラチネ以降、北野作品には辛口批評しかしていなかったが、本人が直接賞賛の言葉を送ると、北野監督は驚いて「本当に?」と何回も聞き返してしまったというエピソードがあります。

1996年、同年に「岸和田少年愚連隊」が公開されており、この映画と同作を勘違いされる方もいます。この年のブルーリボン賞主演賞を安藤正信が「キッズ・リターン」で受賞したと世間で認知されているようですが、実際は「岸和田少年愚連隊」に出演したナインティナインが受賞しています。このことを岡村隆史はたびたびネタにしています。

ストーリー。マサルとシンジは落ちこぼれ高校生。受験が近づいても二人は悪戯やカツアゲをして気ままに過ごしていました。そんなある日、カツアゲの仕返しで連

引用 キッズ・リターン

れてこられたボクサーを一発でマサシが倒し、ボクシングジムに通うようになります。舎弟のシンジも誘うが才能を認められたのは皮肉にもシンジの方でした。ボクシングの才能がないと知ったマサルは極道の道に進み、成りあがっていきます。シンジも高校を卒業してプロとなり快進撃を続けます。しかし、シンジは先輩ボクサーにそそのかされて安易な道を選び、大事な試合で大敗。マサルもまた、組長を狙撃され制裁を受けます。最後は、挫折した二人が通っていた高校の校庭で自転車に二人乗りするシーンで終わります。

印象的なのは最後に「マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?」とシンジが問うと「終わるどころか、まだ始まってもねぇ」とマサルが答えます。バイク事故から復帰した北野魂がこの台詞にあったような気がします。

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