業態の壁が無くなっていく「生鮮ドラッグストア」消費者の便利度が向上か?

業種店と業態店をご存知だろうか?業種店というのは業種で店舗の内容がわかる店のことです、例えば「魚屋さん」「酒屋さん」などの呼称で呼ばれる店舗のことです、商品提供側の視点に立った店舗の考え方と言えます。業態店とは消費者側から見た目で成立している店舗です「スーパー」「ドラッグストア」などがそうです、単純にひとつのカテゴリーだけを扱うのではなく、お客のために商品内容を編集して販売する店舗形態が特徴です。

この業態店がどんどんと進化しています、これまでも同じ敷地内に入業種が出店するなど店舗単位での組み合わせというのは試されてきましたが、最近では店舗の運営スタイル、営業内容自体が変化してきているのです。特にその傾向が目立つのが消費活動が鈍化してきている地方です、消費の鈍化に伴い供給側の対応が業態の進化となって現れてきたのです。

今回紹介するのは、ドラッグストアが異業種の食品スーパーやコンビニの領域を侵し、日常生活の中心になろうとしている状況です。かつて繊維産業で栄えた福井県永平寺町。古民家が並ぶ永平寺口の駅を降り、幹線道路を5分ほど歩くと約300坪の単独店舗が見えてきます。中堅ドラッグストア・ゲンキー東古市店がそれです。ゲンキーはドラッグストアなのですが、食品売り場のコーナーが常設してあり冷凍食品、弁当のほか青果、鮮魚、精肉の生鮮品がずらりと並んでいます。

外から見ると「ドラッグストア」なのですが生鮮食品売り場を見ると「スーパーマーケット」に来たように感じます。10~15坪の売り場には弁当や総菜、250点の生鮮品が展開されています。あくまで補完商品という扱いですが、その価格は周辺のスーパーに「競争環境は確実に厳しくなっている」と言わせるほどです。

内容的には100g=198円より高い牛肉は扱わないなど低価格を徹底。すべての生鮮品で周辺スーパーの特売品と価格を合わせ、定番商品は2割ほど安い価格で販売しています。近くから通う高齢の主婦は「遠くのスーパーまで行かなくても、野菜などの生鮮が手に入るようになった」と話します。ゲンキーでは6月から生鮮品の導入を目的にした改装を順次行っており、改装した店舗の売り上げは3割増になっているそうです。

業態の垣根が壊れていく百貨店の売り上げがドラッグストアに負けていく

ドラッグストアの売り上げ規模は6兆4916億円で、2016年には百貨店の売り上げと肩を並べました。ドラッグストアの強みは、粗利の高い化粧品と医薬品です。これらを原資として食品を大胆にディスカウントしているのです。ドラッグストアのこの収益構造に対し、スーパー、コンビニは対抗手段がないと言います。基本的に商品戦略上、化粧品や医薬品は土俵が違うからです。

ドラッグストアは業界全体では毎年400~500店舗のペースで増加を続けています。全国の店舗数は足元で1.9万店舗を突破、食品スーパーから着実に客を奪い、コンビニと並ぶ小売業の勝ち業態となつつあります。しかし、スーパー業界以上に熾烈な競争状態にあるのがドラッグ業界なのです、中でもゲンキーが展開する岐阜、福井、石川、愛知の4県は業界内で「関ケ原」と呼ばれている全国一の激戦地区なのです。この地区ではアオキホールディングス、スギホーディングス、中部薬品などが群雄割拠し、それぞれの本拠地へ進出しています。近年では九州からコスモス薬品の侵攻もあります。

ドラッグストアの1店舗あたりの商圏人口は全国平均で約1万人。それに対して岐阜や福井の商圏人口は6000~7000人と少ない状態です。幹線道路車で走ると5分に1店は見かけるほどで、加密度はコンビニに近い状況です。地方都市では、こうした新業態によるシェア争奪の戦いが既に始まっています。

こうした動きは都市部でも広がってきています。首都圏を中心に展開するサンドラックは今営業期、2018年3月までに126店舗の改装を実施、ほとんどの店舗で食品を強化する予定です。コンビニを意識した小型業態の店舗も都市部やロードサイドに出していく計画です。

どんどんと業態の格差がなくなり、壁が取り払われ、スーパー、ドラッグ、ディスカウント、ホームセンター、そうした業態店の特徴が無くなっていくのかもしれません。しかし、全部が同じ色になってしまっては選ぶ側の消費者は「何を基準に」店舗を選んだら良いのか分からなくなってしまいます。提供側にとっても、消費者にとっても難しい時代になりました。

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