わさおが飼い主菊谷節子さんを亡くし鰺ヶ沢の街に冬の風が吹く

「ブサかわ犬」の代名詞となった人気の秋田犬「わさお」の飼い主として知られる菊谷節子さんが11月30日、間質性肺炎のために青森県弘前市内の病院で亡くなった。73歳でした、通夜にあたる前夜祭は8日午後6時、葬儀にあたる告別式は9日午後11時、青森県鰺ヶ沢町本町209の2・鰺ヶ沢町山村開発センターで開かれます、喪主は長男の忠光さん。

鰺ヶ沢でイカ焼き店を経営していた菊谷さんは2007年秋、近くの商業施設の駐車場でわさおを拾いました。イカ焼き店の看板犬となったわさおは、08年にブログやテレビで紹介され、人気者になりました。10年に町特別観光大使となり、11年には主演映画が公開され、日本ユネスコ協会連盟の世界遺産活動特別大使「犬」も務めました。

菊谷さんはわさおが人気者になりテレビに出演し、あちこちに呼ばれていくときもいつもいっしょにいて、淡々と過ごして来ました。誰が来ても何があっても鰺ヶ沢の「イカ焼き」のおばさんであり、わさおのかあさんであり続けました。見る人にとっては「ブサかわ犬」であっても菊谷さんに取っては、いつもかわいい”我が子”でした。13年に菊谷さんが体調を崩して入院した際は、わさおは寂しさによるストレスで夏毛が生えずにほっそりしてしまいました。しかし、菊谷さんが退院するとすぐに毛が生えたのです。

菊谷さんはいなくなっても鰺ヶ沢とわさおの時間は過ぎて行く

鰺ヶ沢町南浮田町の海岸沿いにある菊谷さんのイカ焼きの店は、12月1日も通常通り午前8時に開店しました菊谷さんは今年に入って入退院を繰り返していましたが「私になにかあっても、店はやすむな」と言い残していたといいます。店のそばの犬小屋にいたわさおは、店の前の道路をじっと見つめ、車や人が近づくと何度も吠えていました。菊谷さんを探して吠えていたのでしょうか、店の従業員は「普段は吠えないのに、そわそわしている」と話しました、きっと、菊谷さんが帰ってくるのを心待ちにしているのでしょう。

店には弔問に訪れる人やわさおの様子を見に来る人が絶えませんでした。仙台から出張の度にわさおを見に来て、菊谷さんとも面識があったという仙台市から来た男性は「菊谷さんとわさいおは、飼い主と犬という関係以上だった。亡くなって残念」と語りました。弘前市で入院中の菊谷さんと会っていたという棟方あき子さんは「『わさお』のおかあさん」と声をかけると、ニコニコ話してくれたと思い出していました。

去って行く飼い犬を見送るのは哀しいものですが、飼い主に先立たれて「なにも知らずに」帰りを待つ老犬の姿は涙なしには見ることはできません。わさおは今後も店に立ち続ける予定です。そして、菊谷さんの家族や店の従業員の世話を受けながら『菊谷さんの帰り』を待つのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA