「オールド・ボーイ」の狩撫麻礼氏死去、その時代の臭いを感じさせる人は次々に亡くなる。

漫画原作者の狩撫麻礼氏が亡くなりました、80年代に狩撫氏が原作を書いた漫画に夢中になった方も多い事でしょう。狩撫氏は漫画原作者、かつて「巨人の星」や「あしたのジョー」の原作を書いた梶原一騎氏の次世代と言えば良いのでしょうか、30代で原作者となり「ア・ホーマンス」「迷走王ボーダー」などの原作を手掛けます。私が最初に狩撫氏の原作漫画を見たのは「迷走王ボーダー」でした、やたらアウトローを好む友人から「いい漫画がある」と言って教えられたのがこの作品でした、「傷だらけの天使」を見て育った世代にとっては同じ臭いのする漫画作品でした。

漫画だけではなく映画化された作品も多く「ア・ホーマンス」は松田優作さんの監督・主演で映画化されました。このときに共演者として出演していたのがARBのボーカル・石橋凌さんで、この映画をきっかけに俳優業に入って行くことになります、映画のテーマ曲もARBが手掛けていました。狩撫氏の作品は社会からはみ出したような主人公が多いのですが、それがまったく非現実的なところにいるかというと、そうでもなくて意外と心情を移入できたりするのです。

「迷走王ボーダー」の中では当時人気が出始めていた”THE BLUE HEARTS”を取り上げたりしました、私がBLUE HEARTSを知ったのはこの漫画からでした。社会生活に馴染めずに、なんとなくアウトサイダーっぽい生活をしている人間はいますが、その生き方が漫画という世界で「おもしろい」と感じられるのか、というか読者が興味を持てるのかということは大きな問題だったと思います。ヒーローやストーリー性の高いものであれば、それなりなのでしょうが描かれる世界が独特なのです。その独特を描いて見せるから漫画だったのかも知れません。

本領を発揮した「オールドボーイ」は映画化されタランティーノが激賞

狩撫氏はペンネームを変えていろいろな作品を書いています「ルーズ戦記 オールドボーイ」もそんな一作です。この作品はパク・チャヌク監督によ

引用 オールド・ボーイ

り韓国で映画化され「オールド・ボーイ」のタイトルで公開され、第57回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞します。カンヌ映画祭の審査委員長であったクエンティン・タランティーノからは「できればパルム・ドール(カンヌ国際映画祭の最高賞)を授与したかった」と激賞されました。

また「オールド・ボーイ」は韓国での制作後、ユニバーサル・ピクチャーズがリメイク権を獲得、スティーブン・スピルバーグ監督とウィル・スミスが参加してハリウッド版を製作する企画がありましたが、漫画原作を保有している双葉社が基本契約を守らなかったとして韓国映画オールド・ボーイの制作会社ショーイーストを訴え、リメイク企画は見送りとなりました。

その後、制作会社マンデート・ピクチャーズがリメイク権を獲得し、スパイク・リー監督、ジョシュ・ブローリン主演でハリウッド版が制作されました。この漫画原作は、日本で漫画化され韓国・米国で映画化されたのです。原作者、狩撫氏の世界観がアジアやアメリカ、世界中で通用することを立証した作品ともいえます。暴力的なシーンはエンターテインメント向きなのかも知れませんが、物語のベースとなっている人間の哀しみのようなものが狩撫氏の作品の核だと思います。

作品自体は何度でも読み返すことは出来るのですが、もう新しい作品を見ることができないのかと思うと時代の流れを感じます、その時代と同じ臭いのするものは時代とともに失われていくのです。今夜は「ボーダー」でも読みながら追悼のバーボンでも飲むつもりです。

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