「ボン」なのか「ぺチャ」なのか、新幹線にぶつかると人も「蚊」並の扱いか?

引用 朝日新聞デジタル

6月14日午後、小倉駅を出発した山陽新幹線博多発東京行き「のぞみ176号」の先頭車両のボンネットが割れているのを、小倉駅ですれ違った新幹線の運転士が目撃、のぞみは新下関にに停車して確認したところ、先頭のボンネットから人体の一部が見つかりました。博多~小倉間で人をはねたと見られています。駅で先頭部を写真に撮った一般客からは「グロすぎて写真をアップすることはできない」などと言った惨状を語る声も寄せられています。

事故後に運行を続けたのは今回が初めてではない

■運転士は気にしていなかった

高速で走る新幹線は在来線よりも安全を重視し、踏切を設置せず、沿線には高い柵を設置するなどして人が侵入できないようになっています。在来線と比較すると、線路上での人身事故は皆無に等しいものです。今回の問題は、人身事故であることもさることながら、何故小倉駅で運行を止められなかったかということです。JR西日本の説明によれば、のぞみ176号の運転士は「博多~小倉間の走行中に“ドン”と言う音がしたが、すぐに止める必要はないと判断した」と述べており、鳥のような小動物がぶつかっただけで安全運行に支障はないと判断しました。このため、総合指令室に連絡をしていません。

■小倉駅でも駅員は気づかず

事故車両とすれ違った新幹線の運転士は、異常を確認後、すぎさま新幹線の運行を統括する東京の新幹線総合指令所に連絡しています。指令員はのぞみ176号に停止を指示、列車は途中停止して安全確認をした後に、本来なら通過する新下関に緊急停車して車両点検を行いました。しかし、これは他の新幹線の運転士が総合指令所に連絡後のことであって、点検を行うのであれば「小倉駅」で可能だったのです、小倉駅に176号が進入した際に多くの客がボンネットの異常や血痕を目撃しています。どうしてホーム上の駅員が気が付かなかったのかが不思議です。

昨年の台車亀裂トラブルに似ている

■昨年12月の「のぞみ34号」の事故

今回の衝突事故は、昨年12月に起きた新幹線「のぞみ34号」の台車亀裂トラブルに類似しています。異常の知らせを受けて列車に乗り込んだJR西日本の車輌保守担当職員が車内の異臭、異音に気づきながら「列車を止めて安全点検したい」と言い出せず、破断寸前の状態で3時間以上にわたって運転を続けました。「保守担当者と指令員との間で車両の状況にずれがあり、運航停止に関する判断を相互に依存していた」というのがJR西日本の見方でした。要は「問題を提起すれば自分の責任になる」という恐れが、判断を鈍らせていたのです。乗客の安全を預かる鉄道事業なのですから、安全に不安がある場合には『すぐに』運行を停止するのが当然ではないのでしょうか。

■事故の「ゆずり合い」は美徳ではない

JR西日本は34号のトラブルを契機に、判断基準を明確にし、異音や異臭から安全状態を推測する訓練を乗務員や保守担当者の間で始めました。今回、すれ違った運転士の報告を受けてすぐに列車を止めたのはのぞみ34号事故からの教訓が生きていたと言えます。しかし、なぜ小倉駅で列車を止めることができなかったのでしょうか、やはり、先回トラブルの教訓は生かされていなかったのです。壊れたボンネットや血痕に一般客が気付いたのにホーム上の駅員が気づかぬはずはありません、ではなぜ「止め」なかったのか。ホーム上の駅員は列車運転士が問題なしとしているものに異議を唱えることはできなかったのです。事故を起こして「そのまま」運行を続けることは大問題です、今回、どこで人身事故が起こったのか、その詳細を知ることは重要ですが、それ以上に「小倉駅」で列車を止めることができなかったことも大きな問題です。なぜならば、これは事故ではなく人的管理体制の問題だからです。

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