「山笠があるけん博多たい!」明日15日、早朝にフィナーレ“追い山”。

引用 毎日新聞

博多の夏の祭り「博多祇園山笠」7月1日から始まったこの祭りも15日にクライマックスを迎えます。地元、福岡の人たちは「山笠があるけん博多たい!」という有名なセリフのCMを日常的に聞いているので「そげんたい!山笠があるけん博多たい」とおっしゃいますが、実際に山笠が始まるのは朝の4時59分、確かに大勢の見物客は集まりますが、5月の「博多どんたく港まつり」には遠く及びません、祭りの内容的には勇壮で見て面白いのは山笠に違いないのですが、巨大な山笠を担いで町内をタイムレースで回る性格上、規制が多く、世間が稼働していない早朝の時間帯に実施するため、観光客の入りがもう一歩なのでしょう。

山笠の魅力は「地区対抗のタイムレース」になっていること

■櫛田入りは「短距離レース」

追い山笠では各流れが順番に櫛田神社の境内(清道)に山笠を舁き入れます。山笠は櫛田神社内の清道旗を回って境内を出て、約5キロの追い山笠のコースに飛び出していきます。この舁きだしから境内を出るまでを“櫛田入り”と呼びます。距離は約112メートル、タイムを計測するため、各流れとも精鋭で挑みます。コースが長距離なら櫛田入りは短距離走で、舁き手は一気に駆け抜けます。現在は30秒前後で舁いており、性格を期するため100分の1秒まで計測しています。まわりには約1800席の桟敷席が設けられていて、各流れが櫛田入りを終えて、記録が発表される度に、早ければ沸き、遅ければため息が出ます。

■「博多祝い唄」が終わると追い山コースに舁きだしていく

櫛田入りが終わり「博多祝い唄」を舁き手と観客で大合唱したら、山笠は境内を出て博多部に設けられた“追い山コース”へと出て行きます。出発時間は午前4時59分、これは一番山だけに認められた特権で「博多祝い唄」を歌う時間として一分間だけ前倒ししているためです。したがって二番山笠は6分後、三番山笠以降は5分間隔の舁き出しで、そのままゴールとなる須崎町の廻り止めを目指します。各流れは櫛田入りとコースの所要時間を計測し、各流れがその結果に一喜一憂しますが、優勝旗や賞状などの表彰があるわけではありません。これも祭りならではのすがすがしいところです。

地元の人たちは「山狂い」、博多の人間にしかわからない“祭り”の本質

■山笠が終わった日から「山笠」が始まる

ご存知ない方は「博多」地区は福岡市の面積の半分程度と思われているかもしれませんが、博多区と呼ばれる地区の面積はわずかなものです。東京で“東京出身”の人間を探すのが難しいように福岡市でも“博多出身”の人間は、そうはいないものです。しかし、昔から博多商人が基盤としてきた地区、旧上川端や下川端を中心にした大黒流、恵比寿流、土居流などの地区では真正の博多人が見受けられます。特に山笠のこの時期には、水法被姿で酒を酌み交わす姿を、あちこちで見ることができます。こうした地元では、年がら年中「山笠」のことばかり考えており、明日、追い山が終われば酒を飲みながら来年の山笠を語るのです。まさに「山笠があるけん博多たい!」なのです。

■舁き手が必要なのではなくて「押し手」が必要な山笠

博多に夏が来るためには「山笠」は欠くことのできない祭りなのですが、問題もあります。先ほど触れたように、伝統的な地区住人だけでは「山笠」は運営できない状態なのです、要は祭りを実行するための人員が足りないのです。山笠の総重量は約1トン、これを前後6本の舁き棒に二十数名が付いて舁きます、この時点では「持ち上げる」状態であって「進んで」はいないのです、前に進めるためには“押し手”が必要なのです。確かに舁き手も重要なのですが、推進力となる“押し手”がいなければ前に進めません。追い山コースに出て、途中で見ていると「押いちゃれ!押いちゃれ!」と山に付いた先導の人間が叫んでいます、山笠に後ろに付いてラグビーのスクラムのように押していく人間が多ければ多いほど速度は上がって行きます。櫛田神社を出る時は山笠を中心に舁き手が目立ちますが、櫛田入りでも重要なのは“押し手”の力なのです。これからも舁き手と“押し手”が揃って祭りを続けていけるように願います、祭りを支える基本も社会を支える基本も同じです。『舁く人間』『押す人間』『囃す人間』それぞれの役割を担ってこその祭り、社会ではないでしょうか。さて、明日の山笠は「どこ」が一番でしょう、結果が楽しみです。

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