
引用 ローグワン
スター・ウォーズシリーズの中でも異色なのがこの“ローグ・ワン”でしょう。監督のギャレス・エドワーズが自ら語るように、この映画自体がシリーズの流れからしたら「反乱者」的な存在なのです。スピンオフ作品シリーズの第一作でもあるため、実写映画本編とは異なり、オープニング・クロールが存在しません。特に注目したいのがスター・ウォーズシリーズで初めて主人公が死亡してしまうのです、この主人公の死亡という結末こそがこの映画の神髄のような気がします。本作のあちら、こちらを黒澤作品に対するオマージュなどと言う人がいますが、ルーカスが監督をしたわけではなくギャレス・エドワードが監督なので、ギャレスが受けた影響はルーカスのスター・ウォーズであり、彼が映画監督を目指すきっかけの映画であったとも言っています。ルーカスの世界観を理解することでギャレスは「七人の侍」「隠し砦の三悪人」の匂いがする映画を作り上げたのです。
ドニー・イェンが出演しているところがいい
■この人が出ているからこそ
初期に製作されたシリーズに三船敏郎を起用する話があったことは有名です。実際に娘の三船美佳は三船敏郎にオファーがあったことを語っています。三船敏郎が出演するのであれば、当然にジェダイということになるのでしょうが、ローグ・ワンにもフォースの力を信じる武道の達人が登場します。そう、ドニー・イェンです、ブルース・リー亡き後香港映画界で本物の武人を演じられるのはこの人だけです。イイ感じで出演していました、またコンビを組んでいたチアン・ウェンは中国を代表する俳優で「赤いコーリャン」にも出演していました。本作はこの2人の東洋人が出演することでずっと奥行きを増しています。
このたった2行が #ローグワン の全て
歴史ってこういうものだよね。
歴史の教科書の一文も、当時の人にとっては大事件だったんだよなぁ… pic.twitter.com/eJAInvr67A— アルファ (@CafeCoral) 2019年2月1日
■ほかの作品も見てください
ドニー・イェンはブルース・リーの師匠であったイップ・マンを演じています。その確かな武術の経験から、作品は見事な仕上がりです。“序章”“葉問”“継承”の三作品があります、お薦めです。ドニー・イェンは「グリーン・ディスティニー」のヒット後、クェンティン・タランティーノ監督がミラマックスに推薦し、自身の主演作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアンモンキー」が2001年に公開され、初登場でボックスオフィスの6位にランクインしました。こうして実力を認められ「ハイランダー」や「ブレイド2」などに出演しました。ハリウッドでは出演するだけではなく、アクションに関する指導をオファーされることも増えました。スター・ウォーズ作品への出演に関しては「子供たちに見せられる作品」に出たかったと語っています。
このシリーズ、監督もちゃんとしている
■ギャレス監督はゴジラ好き
ドニーからローグ・ワンに戻りますが、監督のギャレスが尊敬するのはジョージ・ルーカス、スティーブン・スピルバーグ、クエンティン・タランティーノだそうです。もう、おわかりのように日本映画に深い関心を持った3監督を尊敬している以上、日本映画に対する知識も豊富なはずです。そして彼は“ゴジラシリーズ”の大ファンでもあるのです、2014年に公開された「GODZILLA」の監督は彼なのです。ひとむかし前のハリウッドでは東洋系の出演者は“歪められた”キャラクターで登場し、笑いのネタ程度にしか扱われていないこともしばしばでした。しかし、日本や韓国、中国に関心を持ったハリウッドの製作人が増えたことで出演する東洋系の俳優も活きてきています。
我はフォースと共にあり、
フォースは我と共にある――。#スターウォーズ #ローグワン pic.twitter.com/yWOuyiCN4j
— スター・ウォーズ公式 (@starwarsjapan) 2019年2月1日
■エピソード9はJJ
もともとスター・ウォーズは「隠し砦の三悪人」にヒントを得て作られたと言われています。どうせなら、まんま作ってみてはどうでしょう。「七人の侍」が「荒野の7人」でリメイクされたように、まぁ、難しいでしょうね。ここまでシリーズ作っちゃったら、余白はそんなにあるはずないですから、今年公開予定の『エピソード9』は監督がJJエイブラムス。過去に最後のジェダイを監督、スタートレック、ミッション・インポッシブルの監督も手掛けています、期待が高まります。しかし「ローグ・ワン」はいい作品でした。